【部活生】中学、高校に進学したら気を付ける栄養のこと

スポーツ栄養

4月になり、新しく中学、高校の入学式も間近に迫ってきました。高校に進学すると、急にお弁当になったり(中学でもお弁当の場合も←私の時はコレ)、今までより通学に時間がかかったり、これらのために母は早起きになったり、親子共に何かと慣れない生活がスタートします。

もちろん、部活に入ろうと考えている子供にとっては、今までにない緊張や人間関係に戸惑うかもしれません。そんな時に気を付けていても、十分な栄養が摂取できていない場合がありますが、その原因と対策についてお話ししたいと思います。

練習時間や練習量の差

中学生では、今までの少年団や地域のスポーツクラブで、週末や平日の短時間を練習に当てていたものが、ほぼ毎日のように練習があり、中学校の所属する部活がどのレベルを目指しているのかによって、練習の時間や量も様々です。いきなり、かなりの練習量を課すような指導者は、今では少なくなったのかもしれません。それでも練習の強度や質を上げることは必然であり、それなくして自分やチームのレベルアップもままならない訳で、早く体力や持久力が追いついてくるよう、ひたすら食事(栄養)と休養(睡眠)の質と量を上げる必要があります。

高校に上がれば、更に練習の質や強度が上がるのは言うまでもなく、強豪校と呼ばれる部活では、チーム内でライバルも多く、少しでも差をつけたくてオーバーワークになることも考えられます。それらを支えるのも、やっぱり食事(栄養)と休養(睡眠)です。

では、どんな食事を食べたら良いのか?

エネルギーの過不足を知ることから始めよう

当然、活動量は格段に増えるので、体を動かすエネルギーも今まで以上に増えます。本来は、活動量などを測ったり、どんな練習内容なのかチェックしたりして、活動量を推定するのですが、家庭ではまず難しい上に、仮に推定したとしても正確にはできません。そこで、体重を毎日測定することが、エネルギーの過不足を判断できる材料になります。同時に、2週間に1度は身長も測定しておくことを奨めます。特に中学生は、身長が伸びている時期には、2週間という短い期間でも身長が伸びている子もいます。

体重や身長を毎日測定する意味については、こちらで詳しく解説しています。

消化が良く、食べやすいものを

その上で、この時期に食べる食事ですが、とにかく消化に良いものを中心にします。とにかく食べないと!ということで、ガッツリなおかずは、最初は食べられても、次第に食べられなくなることが多いです。もちろん、ガッツリでも全く問題なく食べられる選手もいますが、ハードな練習では筋肉だけでなく、内臓も疲労します。そのため、消化の良い食事で胃腸への負担を軽減し、素早くエネルギーの補給と体の修復につなげられるようにします。

また、あげ物や脂の多い肉など消化が悪いものは、いつまでも胃に貯まっていて、その結果として眠りの質を落とすことにつながります。眠りの質が悪いと、体力や身体の回復が上手く進まず、疲労の蓄積やケガのリスクが高くなります。練習量に体力が追い付いてくるまでは消化が良い物、そして食べやすいもの(食べたいものでOK)を選んで食べるようにしましょう。

エネルギーを確保することが必要

消化が良くて、食べやすい物を選んで、それなりに食べていても、体重が減少してしまう場合があります。例えば、おかずばかり食べていて、ご飯は進学する前と変わらないか、疲れて食べられないから減っているような状態が続くと、体重の減少につながり、疲労も蓄積するだけでなく、最悪ケガにつながる場合があります。これは主食であるご飯、めん類、パンなどの身体を動かすエネルギーの素になる「糖質」が不足することが原因です。活動量の増加に伴って、身体を動かすエネルギーも増加させなければ、不足分は自分の体にある脂肪を使うか、最悪筋肉などをエネルギーに換えて体を動かすことになります。

特にスポーツをする場合、ダッシュなどの素早い動きの際には、糖質を主に使い、ゆっくり走ったり、歩いたりしている時には、主に脂質と糖質を組み合わせて動いています。そのため、新入部員には、小学、中学年代よりも素早い動きが求められ、しかも今まで以上に一生懸命に動く場合には、より糖質も多く必要になります。

糖質を増やす場合、2通りの方法があります。一つ目は補食で増やす場合、二つ目は食事の中で増やす場合です。

補食で糖質の量をアップ

一つ目の補食で増やす場合には、食事以外に補助的に食べるもの(略して補食)で糖質を増やすだけです。具体的には、おにぎりでも良いですし、パンでも構いません。携帯しやすく、傷みにくいものであれば問題ありません。その際に気を付けたいことは、消化のしやすさです。

特に練習前などに食べる場合には、油脂を多く使ったパンなどは、上手く消化できていないでハードな練習に入ると、気持ち悪くなったり、最悪嘔吐する場合もあります。ですから、油脂が少ないものを選びたいところなのですが、その際に参考にしてもらいたいのが、袋入りの市販のパンだと、必ず表示されている「栄養表示」です。ここにある「脂質」が多い物は避けるようにして、糖質が多いものを選ぶと良いでしょう。パンで選ぶとしたら、ベストは「あんぱん」です。ただ、アンコが嫌いな子もいるので、その際にはジャムパンでも構いません。

とはいえ、毎日の事になると、お財布には優しくない訳で、量もどんどん増えることを考えると、やっぱり「おにぎり」が経済的にもバリエーション的にも、飽きないという面でも、一番おススメです。その際に、少したんぱく質の豊富な具を入れてあげると、なお良いでしょう。おかかやサケフレークでも良いですし、アサリやちりめんじゃこの佃煮などは鉄分の補給にもなって良いです。また、薄焼き卵で卵を包んだり、厚焼き玉子を「おにぎらず」のようにするのも良いでしょう。おにぎらずにすると、バリエーションは無限大なのですが、暑くなるにつれて傷みやすい具には気をつけましょう。

ただし、中学生の場合(特に公立の場合)には補食を持って行くことができない場合が多いでしょう。その際には、食事の中で増やしていくしかありません。

食事の中での糖質アップ

これはご飯の茶碗に盛る量を少しずつアップする方法が一番手っ取り早いのですが、その前にお茶碗のサイズをアップしてあげると、見た目の錯覚で同じ量でも大きなお茶碗の方が少量に見えます。マンガ盛り(てんこ盛り)になっているお茶碗よりも、食べやすいですし、量を増やす余裕もあります。

そうして、茶碗をサイズアップしたら、次に普段食べている量を、まずは計測してみます。なんとなく、ご飯を炊く量でお母さんはお米を食べる量を把握していると思いますが、本人にも自覚してもらう意味を込めて、あえて測ります。そして、それを段階を追って増やしていきます。もちろん、余裕があれば、最初にたくさん増やして、あとは徐々に増やすという方法でも良いでしょう。

1週間単位ぐらいで少量(30gでも50gでもOK)増量したら、次の週にはまたご飯を増量するという風に増やしていくと良いでしょう。この際に、パンだとなかなか量の調節が難しいです。食パンであれば、〇枚切りで調整するという方法もありますが、なかなか増やしているという実感が得にくいので、体重の増加につながりにくいような印象を受けます(サポートしている選手を見て)。

最後に

食事量を増量した場合、日々の体重測定を行い、記録することで以前の自分と比較して、体重が増えているかどうか?を確認します。当然、中学、高校に進学した選手は、身長もまだ伸びる時期でもあります。身長が伸びれば体重も増えるはずなのですが、エネルギーが不足していれば、身長は伸びても体重はそのままの場合があります。当然、筋肉なども伸びて大きくなるはずが、長さは伸びても太さは細くなっている(実際にはそれほど単純ではないですが)と考えられ、適切な成長とは言えません。これもエネルギー不足のサインです。

ましてや、本来は伸びるべき時期に、練習でエネルギーを使い果たしてしまい、身長が伸びるための余力がなく、成長を阻害している場合もあり、これは重大なエネルギー不足のサインです。この時期に十分にエネルギーを確保することは、非常に重要です。肥満な場合を除いて、体重が減少することがないよう、お母さんも日々子供を観察して、体重の増減には目を配っておきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました