徹底比較!ミロVSセノビックVSセノビー 身長を伸ばすために必要なのはカルシウムだけじゃない!

スポーツ栄養

公認スポーツ栄養士の柴田至且です。

先日、ネットニュースを見ていると、「ミロが出荷停止」になっていると、報じていました。どうやら、大人がミロを飲んでいるようだとの指摘を、ネット記事でしていました。

それとは関係なく、私のブログの中でも、身長に関わる部分での検索が増えているので、少しそのあたりについて書いてみたいと思います。以前書いた記事はこちら↓
https://snappy-sportsdiet.com/sportsnutrition-measure-height/

確かに、ネスレ・ミロは昔からある「牛乳に混ぜて、手軽に栄養補給ができる」ものとして、広く認知されていましたが、今頃ブレイクするのも不思議なものです。近年の健康志向からくる現象なのか、はたまたインフルエンサーによって広まったのか、定かではありませんが、一部の小中学生にとっては死活問題(言い過ぎか)かもしれませんね。毎日飲んでいたものが、品薄で手に入らなくなるなんて。

【ネスレ・ミロの栄養成分表示】15g当たり

エネルギー60kcal、たんぱく質1.2g、脂質1.6g、飽和脂肪酸1.0g、炭水化物10.7g、糖質9.8g、糖類6.5g、食物繊維0.9g、食塩相当量0.044g、カルシウム225㎎、鉄3.2㎎、ビタミンB₂0.30㎎、ビタミンB₆0.40㎎、ビタミンB₁₂0.64μg、ナイアシン4.6㎎、ビタミンC15㎎、ビタミンD1.7μg、

最近では、ミロによく似た「身長を伸ばす」(と書いてはいけないので、それっぽい名前にしている)ことを匂わせた商品がいくつか販売されています。

【セノビックの栄養成分表示】12g(小スプーン中盛3杯分)当たり

エネルギー40kcal、たんぱく質0.7g、脂質0.3g、炭水化物9.2g、食塩相当量0.024-0.24g、カルシウム510mg、鉄6.05mg、ビタミンC20mg、ビタミンD3.5μg、ビタミンK※7μg、卵黄ペプチド(ボーンペップ)…100mg 、ミルクペプチド(オリゴミル)…150mg 、ポリフェノール
※ビタミンKの値は、ビタミンK1とK2の合計値です。

【セノビーの栄養成分表示】12g当たり

エネルギー39kcal、たんぱく質1.0g、脂質0.2~0.7g、炭水化物8.5g、糖質7.7g、食物繊維0.4~1.1g、食塩相当量0.03~0.09g、カルシウム510㎎、鉄3.8㎎、ナイアシン3.6㎎、ビタミンA96μg

これら3つの商品は、ドラッグストアで簡単に手に入るものです。3者を比較してみると、三大栄養素である、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)については、当然原材料に含まれているものでしょう。それ以外で共通する部分は、鉄、カルシウムですが、その他配合されている栄養素に、各社の特徴が表れているように感じます。

各商品の1回量はそれぞれ「ミロ15g」「セノビック、セノビー12g」と「普通牛乳150g」の栄養成分を比較すると

栄養成分ミロセノビックセノビー普通牛乳
エネルギー60kcal40kcal39kcal92kcal
たんぱく質1.2g0.7g1.0g5.0g
脂質1.6g0.3g0.2-0.7g5.7g
飽和脂肪酸1.0g3.5g
炭水化物10.7g9.2g8.5g7.2g
糖質9.8g7.7g
糖類6.5g
食物繊維0.9g0.4-1.1g0g
食塩相当量0.044g0.024-0.24g0.03-0.09g0.15g
カルシウム225mg510mg510mg165mg
3.2mg6.05mg3.8mg0.03mg
ビタミンA96μg57μg
ビタミンD1.7μg3.5μg0.45μg
ビタミンK7μg3μg
ビタミンB20.30mg0.23mg
ビタミンB60.40mg0.05mg
ビタミンB120.64μg0.45μg
ナイアシン4.6mg3.6mg0.15mg
ビタミンC15mg20mg1.5mg
その他、栄養素以外のものは割愛しました。

一番、栄養成分の数が多いのは、ネスレ・ミロですが、他社製品については表示していないだけで、原料由来で含まれているものもあると考えられます。要するに成長に関係するであろう成分だけ、表示しているのでしょう。

カルシウムについては、ミロ以外の製品は、牛乳150gに含まれるカルシウムと合わせると、680㎎となります。これは日本人の食事摂取基準の推奨量には、不足している量ですが、かなりの量をカバーできていると考えられます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf

特に、小学生高学年から中学生、高校生では、1日に必要なカルシウムの量が大人よりも多くなっています。ただし、カルシウムを含む食品は、何も牛乳だけではありませんので、野菜や肉、魚などからも摂取できていますので、トータルで考えた方が良いでしょう。また、カルシウムは摂取した物すべてを吸収できている訳ではなく、20%程度が吸収されているに過ぎません。カルシウムの摂取量が少なくなれば、吸収率を上げるように身体が対応しているとも言われています。とはいえ、十分に摂取したい栄養素ではありますね。

次に、鉄はなぜ重要視されているのか?ですが、成長期には筋肉や血液も、その成長に合わせて増産されます。その際に、筋肉の中に含まれるミオグロビン、血液の中に含まれるヘモグロビンという色素を作る際に、鉄が必ず必要だからです。そのため、骨を作るために必要なカルシウムが十分であったとしても、筋肉、血を作る材料が不足していれば、スポーツ選手の場合には、上手くパフォーマンスを発揮できないかもしれません。

また、急激な成長に鉄の供給が追い付かないために、貧血になる場合もあります。そのために、成長期には十分な鉄の摂取が必要です。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586568.pdf

鉄についても、成長期には大人以上に必要となります。そのため、十分な摂取が必要ですが、サプリメントに頼るのではなく、食事から摂取したいものです。以前、簡単に書いたものがこちらにありますので、参考までに。時間があれば、もっと詳しく書きたいところですが、またの機会に。

では、その他の栄養素については、どうなのでしょう?

例えば、ビタミンDについては、カルシウムの腸管からの吸収を促進する効果、カルシウムが骨に蓄積される効果を狙って配合していると考えられます。また、別の効果として、近年研究が進んでいる筋肉の増量効果もありますが、メーカー側はそこまでは期待していないかもしれませんね。ビタミンDについても、魚を摂取することで、かなりの量を摂ることができます。キノコなどにも多く含まれますが、一番効率良く摂取できるのは、魚かもしれませんね。また、日光を浴びていると、自分の身体の中でも作ることができるので、あくまでも補足的にとるだけで十分でしょう。

ビタミンKについても、カルシウムの代謝に関与していますが、こちらについては人間の腸内細菌によって作り出されるので、あえて摂取する必要はないと考えられています。また、納豆を良く食べる人にとっては、頻繁に摂取できるので、特に必要性は感じないビタミンです。

ビタミンAについては、過剰摂取の心配があるので、マルチビタミンなどでは、あえて入れないようにしているものもあります。過剰摂取になるほど摂ることはないとは思いますが、気をつけたいところです。ビタミンAは様々な食品に含まれるので、あえて意識して摂る必要はないと考えられますが、緑黄色野菜などのカロテン類を摂取することで、体内でビタミンAへと変換され、その変換量は厳密に調整されています。そのため、カロテン類は過剰症の心配がないとされていますので、積極的な緑黄色野菜の摂取がおススメです。

ビタミンB₂・B₆・B₁₂については、筋肉や血液を作る際に必要な要素のため、ミロでは表示しているのでしょう。しかしながら、スポーツ選手の場合には、肉や魚、卵、大豆製品などを良く食べると思いますので、これらの栄養素が不足することは少ないと考えられます。しいて言うなら、ビタミンB₂については、エネルギーを使って身体を動かすときにも使われるので、しっかりと補給したいところです。仮に、練習のし過ぎでエネルギーを使い果たしている、あるいはそれと同時にビタミンB₂も不足していた場合には、成長が抑制される可能性がありますので、注意が必要です。ただ、様々な食品に含まれますので、糖質に偏った食事などせず、バランスよく食べることで、不足することは防ぐことができるでしょう。

恐らく、この記事を検索して、読みに来ている方は、中学、高校に進学したお子さんがいるお母さんなどが多いのかもしれません。春先に、急に訪れる方が多いのも、それが理由かもしれませんね。そんな方には、こちらも併せて読んでいただけたらと思います。

というわけで、ミロ関連の商品を比較してみましたが、結局のところカルシウム、鉄だけしっかりと補給すれば良いという訳ではなく、トータルで考える必要があるということです。また、栄養素がしっかりと補給されていたとしても、肝心のエネルギーが不足していれば、身体を作る時にもエネルギーが必要なので、成長することはできません。ましてや、部活やスポーツでエネルギーを使い果たしていれば、尚更成長は見込めません。まずは十分なエネルギーの確保が必要です。そして、様々な食品を取り入れた食事をすることで、自然とバランスよく食べられるようになります。

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